魔界動乱期
「ほらラウド、とびきり上等な‘女の子’だぜ!」

現れたのはバルザベルク。
そして彼の巻き起こした風とともに、大量の花が部屋に降ってきた。

「これは……、ギルシャスのロンシャン山脈にしか咲かないという‘祝い花’じゃないか。盛大に祝う事なんか……」

「今日はラウドがギルシャスに来てちょうど二百周年の記念すべき日だろ?」

「え?お前……そのためにわざわざ……?」

その瞬間、他の師団長からも懐から大きなクラッカーを鳴らし、ラウドを盛大に祝福した。
バルザベルクのサプライズな企みがラウドの心を打つ。

「そういやあ、あの四麒麟があっという間にメディオになったんだってな。星牙に祝いの電報でも打っとくか」

四麒麟が魔界を転々とし北の大陸に訪れたとき、たまたま国外遠征に行っていたバルザベルクが遭遇し意気投合したという。

「お前は四麒麟と面識があるんだったな」

「ああ。あいつら皆良いヤツでよ。特に星牙はやさしさの塊って感じだ。でも分厚い重厚感があってさ。なんかお前に似てたぜ、雰囲気が」

「いつか会ってみたいものだな」


このとき彼らとの邂逅はなかったが、親友のバルザベルクも認める四麒麟の存在は確かにラウドの中に刻み込まれた。
そしてその三百年後、何の因果か四麒麟の一魔である炎駒とラウドは、互いを認め合う魔族として共に魔獣の森に居を置く仲間となるのである。
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