魔界動乱期
そしてフロティアの勢いは更に加速する。
激戦の大陸グレナダにおいて、メディオを狙えると黙されていた三国を修めた事により、フロティアに降るゼモルが後を絶たなかったのだ。
彼らはフロティアの、平和の国の開拓という思想にも強く共感していた。
こうして二百五十ゼモルを越える領土を手にしたフロティアは、グレイドへと昇格する。

だが、急速な拡大を遂げたフロティアには、問題も山積みであった。
この頃、フロティアの師団形成は仮形成で、例えば麒麟だけの四十二魔を第一師団、元々カメリアであった土地を第二師団、という土地毎の師団を構えていたのである。

そして、麒麟を凌駕する力を持つと言われた超武闘派リュウソウ率いる第七師団が、フロティアに暗雲をもたらす。

「リュウソウが武力行使でゼモルを第七師団の領土にしやがった!」

このとき、星牙はフロティア各地を動き回っており、王都には炎駒と水黎がいた。

「あいつ、フロティアに降ったときには平和の思想に共感してやがったが、本性を現したか!それとも国の魔力に取り憑かれたか……!?」

この頃フロティアは、二つの派閥に分かれてしまっていた。
武力で国土の拡大を狙うべきという武闘派と、あくまで平和思想にこだわる麒麟派。
リュウソウは武闘派の先導者であり、ことあるごとに四麒麟に反発していた。
特に激情の魔族炎駒との対立は激しく、ある種緊張状態が続いていたのである。
その矢先に起こった武闘派の侵略行為に、炎駒は怒りを露にした。

「あいつ、星牙の思想を踏みにじりやがって……、許せねえ!」
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