魔界動乱期
「その勝ち誇ったような顔が気にくわんのう……、そらっ!」

モルキが水柱を走らせる。
白虎はその水柱を避けることはせず、額を向けて真っ直ぐ突進した。
そして水柱を弾いた‘白い閃光’がモルキに襲いかかる。

「かかったな!」

モルキは復活して強靭さを増した右手を振りかざした。
すると数本の水鞭が現れ、白虎の体に巻き付ける。

「うおっ!」

そしてそのまま勢いよく白虎を地面へと叩きつけた。
ドガンッという音を立てた白虎の体は、その反動で少し宙を舞う。
更に空中で足場をなくし移動不可能な白虎に、無数の氷矢が突き刺さり、それは白虎の体をあっという間に凍りつかせた。

「以前の儂ではないぞ。残念じゃったな」

そして白虎を倒したモルキが、再びタイガーに牙をむく。

「勝ち誇るのは早いぞ」

「なぬっ!?」

モルキが白虎の体を見ると、ピキピキと氷にヒビが入り始め、やがて氷は辺り一面に飛び散った。
さらに白虎から、白いモヤが立ち込める。そのモヤは、一瞬のうちにモルキの回りを覆い尽くした。
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