魔界動乱期
「白夜に包まれろモルキ」

「い、いかん……!」

モルキの視界は全てが‘白’に包まれていた。静寂が支配する明るい夜。
モルキには、白虎の気配すら感じ取れない。

「とにかく遠くへ飛ぶしかない!」

モルキがそう考えたとき。


ガブゥッ!


「あがっ……!」


白虎の大きな牙が、モルキの胴体に深く突き刺さった。

パシャアッ

「むっ!?」

白虎は噛みついたときに、弾力性のある水の感触が伝わってくる。
そしてその水を食い破ろうと更に口に力を入れた瞬間、モルキが中から飛び出したのだ。
そしてそのまま姿を消した。

「ちっ、逃げ足だけは早い。あいつは倒せるときに倒したかったんだがな。しかしモルキのやろう、以前より数倍手強くなった」
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