魔界動乱期
声の方向に皆が振り向いた。

「あなたは……」

「バジリスクはおそらくディナスの切り札。ならばその化物退治は俺がやろう」

颯爽(さっそう)と現れたのは、‘神速’の魔獣。

「ルーク殿!」

「‘あなた’やら‘殿’やら、堅苦しいな、ウィドーは」

「しかし、この戦いは我々イグニが仕掛けたもの。ルーク殿を危険に晒させるわけには……」

「おいしい役目じゃねえか。まかせろよ。な、じいさん」

ルークはニカッと明るく笑い、ゾイドを見た。

「……こうなってはこの頑固者は引き下がるまい。ルーク、そなたに多大な負荷をかけてしまうが、よろしく頼む」


その頃、土竜デグタスのエリア付近を、サポートで動き回るウルフ数魔が横切る。

「どうもこの乱戦に乗じて、ディナスはラウドさんを狙っているらしい」

「‘森の王’の称号を奪う気か?しかしラウドさんをやろうなんざ調子に乗ってやがるな」

「でもディナスは魔族の力を自分のものにする特殊能力がある。もしかしたら、既にラウドさんを越える力を手にいれているんじゃ……」
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