魔界動乱期
咳き込みながらも両手を振り回し、敵の侵入を防いでいたギガンテスはようやく落ち着く。

「セラトォ……!烏合の衆で飛び回っていればよかったものを。群を離れた瞬間、貴様はただの鳥だということを忘れるな!」

「では貴様はウドの大木といったところだな」

セラトはそう言いながら地面に着地し、アーヴァンクのもとへ舞い降りた。

「大丈夫か、アーヴァンク?」

「なんとかな。しかしあのやろう、想像以上に頑丈だぜ」

「そのようだな。お前と戦って無傷とは、少し考えがたい」

「なんとか急所をつくしかないぜ」

急所とは、先程アーヴァンクが狙った耳や目などの鍛えようのない場所の事である。
しかしそれだけに、そこを狙うのは容易ではない。
また敵の視線の付近なため、攻撃される危険度も増す。

「飛び回ってチャンスを作るさ」

セラトはアーヴァンク以上のスピードでギガンテスの回りを動き回る。
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