魔界動乱期
実はこのときも、ギガンテスは戦略の積み木を積み上げながら戦っていた。
渾身の右拳をかわされ、セラトが自分の右側面に回り込んだとき、ギガンテスの戦略は完成を見る。

今まで素早い動きで的を絞らせなかったセラトの居場所が唯一明確にわかる瞬間。
それはセラトが本気で攻撃に踏み出すときである。
ギガンテスは右腕を伸ばしたまま、左腕をカウンターのように、的へと置きにいった。

ギガンテスに対して、敢えて分かりやすい軌道を飛び回り隙を作ったセラト。
そしてその誘いに乗る事で、逆にセラトを誘い込んだギガンテス。
裏の読み合いは、ギガンテスが一枚上回った。
これにより、イグニの逆襲は、初っぱなからつまずく事になる。


……はずであった。
ギガンテスの拳がセラトを捉える直前、勝利を確信したギガンテスの右足に激痛が走る。
同時にギガンテスの体が右側にやや傾く。
< 56 / 432 >

この作品をシェア

pagetop