魔界動乱期
この、戦いを楽しむような豪快な笑いを見たパーンは、デグタスに背を向け、魔笛の効果を解いた。

「うん……やめた……」

「あ?お、オメエ!ここからが楽しいんじゃねえか!わかってんだぜ!?オメエまだまだ底があんだろうよ!」

「それでも……お前の勝ち……」

「お、おい……。俺ゃあまだ一度も攻撃をしてねえんだぜ!?」

デグタスの質問には答えず、パーンは川にススッと入り込む。

「パーン!お前を逃がすわけにはいかんぞ!」

魔笛の効果を解かれた満身創痍のラドンが叫んだ。

「俺は……ディナスの軍を離れる……。もともとなんとなくついていただけ……」

「え?」

「でもバジリスクは違う……あいつは心の底から……ディナスについてる……」

それ以上はパーンの小さな声は聞こえなくなり、姿も見えなくなった。

「ディナス軍にはバジリスクがいんのか!?」

「そのようです。あ、それと、助かりましたデグタス殿」

「なあに、ディナスは俺にとって敵だとわかったからよ。それにパーンはやってみてえ相手だったからな」
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