魔界動乱期
「パーンを退散させるとは恐れ入りました」

「あいつが全力でくりゃあ、いい勝負が出来ると思うがな。まあ、いいか。俺はディナスのとこに向かうからよ。じゃあな」

そしてデグタスは去っていった。
想わぬ救世主に救われたラドンは、片翼の飛行でなんとか自陣へと戻ってゆく。


牛魔・レギオンのエリア―

「ちっ、間に合わなかったか……」

ルークが到着したとき、そこにはいくつものレギオンの‘石像’が横たわっていた。

「皆、バジリスクの石化の餌食かよ」

バジリスクは鶏を巨大化させたような姿で、蛇の尾を持つ。
バジリスクの手に触れられたり息を吹き掛けられると、対象物はたちまち石化してしまう。

そのためバジリスクは森の魔獣からも恐れられ、禁断のエリアと同じように、近付いてはいけないエリアだと広く囁かれている。

ルークが辺りを見回っていると、やや離れた場所に大きな魔力の持ち主がいる事が感じ取れた。

「ヤツか!」

そしてルークはすぐさまその魔獣に追い付く。
鶏の冠に蛇の尾。
間違いなくバジリスクだ。
バジリスクがゆっくりと振り向く。

「君は、銀狼か。私を倒しに来たのかい?私はこれから‘禁断のエリア’に向かわねばならないのだが」
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