魔界動乱期
「そうそう、そのディナスだがよ。つい先日、群れの三分の一ほどの大軍を‘禁断のエリア’に向かわせたんだよ」

「なんだと!?」

「でもあっけなく全滅だってよ。まあ、主力はほとんどいなかったらしいから、いわゆる戦力分析だろうがな。化け物相手にご苦労なこった」

「そ、そうか……」

一瞬全身がざわめきたったラウドは、結果を聞いて安堵したような、いたたまれないような複雑な表情を浮かべた。

「禁断のエリアにも攻め入るような奴等だ。お前のところにもいつ攻めてくるかわからねえ。お前がやられるとは思えねえが、気は引き締めておけよ」

「それを言いにきてくれたのか。わかった。気を付けておくよ……ん?」

言葉を言い終わる直前、何か光輝く物体がラウドの視界に入る。
ラウドの視線の方向にルークも顔を傾けた。

「なんだ、ありゃ?」

それはゆっくりと二魔の方へ近づいてくる。

「ヒューズの赤子だ!」

光に包まれていたのはヒューズの赤子。なぜかこの魔獣の森に、産まれて間もないと思われるヒューズの赤子が空を飛んでいたのだ。
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