魔界動乱期
「う……ぐっ」

「ラウドと戦う前に雷も体験出来たし、もう用はない。なあカトブレパスよ、お前、俺の軍に加わらねえか?一緒に国取りしようや」

「興味がない」

「じゃあ死ね」

ディナスの凶刃がカトブレパスに迫る。


その少し前ウルフ陣営では、ひとつの情報が衝撃を持って駆け抜けた。

「ディナスがヌーエリアに一魔で現れた」

それはウルフ陣営にいたジードの耳にも入る。

「ディナスがラルーのところへ……!?」

「落ち着けジード。あそこのボスはカトブレパスさんだ。森でも有数の強者が簡単にやられるわけねえ」

飛び出しそうなジードを、ニコが諭すように抑える。

「胸騒ぎがするんだニコ。なんだか……、行かなきゃいけないような……。ニコ、ルークさんやガイさんには内緒だぞ!」

「あ、ジード!!いくらなんでもディナスには……。くそっ!親父かボスは!?いねえなら、もう‘あそこ’を頼るしかねえ!」

ニコもウルフ陣営を離れ、走り出した。
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