魔界動乱期
「若僧、俺の仲間になれば大きな夢が見られるが、どうする?」

ヌーのエリアでは、ディナスがラルーの首を締め上げ、死か降伏かの選択を迫っていた。

「うぐぐ……すみません父上……ボス……」

「答えねえって事は死ぬ覚悟があるってか。本来なら俺の一部にしてやるところだが、残念だな。俺の額にあるラクリマが不調でよ。魔獣を吸い込みやがらねえ。つまりお前に用はねえ。カトブレパスの死骸だけは持ち帰ってやるか」

そのとき、ザッと一魔の魔族が到着する。

「その手を離せ!!」

「あ?」

「ボ、ボス……」

一気にラルーの首を締め上げようとしたディナスは、突如現れたこの若い魔族、ジードに目を見張る。

「なんでここにヒューズが?まさかテメエが……」

ふとディナスは、ジードの腰の辺りに目をやった。

「けっ、ただのガキか」

「その手を……離せってんだ!!」

ジードがドンッと地を蹴る。

「!?」

ディナスには一瞬、鬼神のようなオーラが感じられ、動きが止まる。
次の瞬間。

「う……ごぉ」

ジードの怒りの拳が腹部へ突き刺さった。体がくの次に折れたディナスに、さらにジードの全力の一撃が顔面を撃ち抜く。

宙に舞い上がったディナスの巨体は、ズズゥンと地面に叩き落とされた。
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