魔界動乱期
「カッ!!」

不意にディナスが魔力を放つと、それが形となりジードの右腕付け根あたりを強襲した。

「うあっ!!」

何が襲ってきたかわからぬまま、もんどりうって倒れるジード。
それはジードの肉体を貫いており、右腕付け根から大量の血が流れ落ちている。

「う……ぐぅっ……」

「すまんな、少し気合いを入れただけなんだが。それではその右腕は使い物にならんか」

「く、くそ……。気合いなら負けねえよ……!」

ジードは痛みを堪えて立ち上がり、残る左手に力を込める。
怒りと気合い。
この一撃は一発必中の一撃だと、ディナスは悟る。

「俺の……全てを込めた一撃だ。小細工はねえっ!!」

再びジードの足下の地面が弾ける。
ルークを思わせるような尋常ではないスピードで、ジードは一直線にディナスへ拳を突き立てた。

ズボォ!!

ジードは体ごとぶつけるように、ディナスの顔面を思いきり撃ち抜く。

「いいね、いい一撃だ」

「て、てめえ……」

ジードの一撃をまともに受けたディナスは、撃ち抜いた拳をガシッと掴んだのだ。

「はっ!!」

「あがぁっ!!」

ディナスが放った掌底が、ジードの身体全体にズシンと響く。
さらに鳴り響くバキボキ……という骨の砕かれる音。

「ぐはあっ!」

大量の吐血をしてその場に崩れ落ち、
ピクピクと小刻みに震えるジードの身体。

「まだ生きていやがるとは、しぶといガキだ」

「ボ、ボス!!」
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