魔界動乱期
ユニコーンは生来獰猛な魔獣である。
普段はそれを抑えるかのように温厚な性格で皆から愛されているが、一旦キレると手がつけられない。

「むっ!」

モノケロウスは回りの木を蹴りながら、まさに目にも止まらぬ動きでモルキを困惑させる。
次第にモルキの体には、いつの間にか無数の裂傷が刻まれてゆく。

「かあっ!!」

モルキが気合いを入れると、突如、砂の壁がモルキを覆った。
ドゴンッと激突するモノケロウス。

「なんだと!?モルキが砂の属性を?」

「これが魔吸収の力じゃ!この力を得た儂は、いずれ魔界でその名を轟かせてやるのよ!」

「貴様、それは悪魔に魂を売る行為。化物になってゆく自分自身の姿にやがて後悔するぞ!」

「後悔なぞせんよ。この森、いや、この魔界では力だけが正義。まあ、お主の相手にはまだ早かったかの。殺し合うつもりはない。ではまたな」

そう言ってモルキは姿を消した。
モノケロウスの表情がフッと元に戻る。

「あいつ……第二のディナスになる気なのか?くっ、でも今はディナスだ!」
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