魔界動乱期
赤子の姿を認識したラウドは、この子に起きた悲劇が容易に想像出来た。

「おそらく戦争だろうな。この子に被害が及ぶと判断した親は、安全な場所に届く事を願ってこの赤子を光の魔法に包み、飛ばした……」

赤子はみるみるうちに二魔に近づき、やがてラウドの手の中に収まった。

「はは、親の願いが叶ったみたいだな」

ルークの言葉にラウドが首をかしげる。

「オメエの手の中は、この世で一番安全かもしれないって事だよ。これも何かの縁だ。ラウド、オメエがしっかり育てろよ」

「そ、そんなに簡単な事じゃあるまい……」

ラウドは慌てふためいたが、赤子はしっかりとラウドの腕を掴んでいる。

「ほら、その子もオメエがいいとよ。それにな、その子がオメエにとっての生きる希望になるかもしれねえぜ?」
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