魔界動乱期
「テメエ、逃げるんじゃねえ!」

【‘それ’を食らう事が出来れば、我(われ)を越えられるかもしれんぞ】

「なんの事だ?」

ふとディナスは、背後から感じられる大きな魔力に気付く。

「これは……、ラウドか!?」

振り返ると、そこに立っていたのはラウドではなかった。

「親父を……殺すだと……!?」

「テ、テメエ……なんで動ける!?」

瀕死の重傷を負っていたジードが、怒りとともに立ち上がったのだ。
そしてジードの回りには、ドス黒いオーラが立ち込めている。

‘ジード・エルナーク……名前の記憶を忘れるな’

「う……うぅ……!」

‘ジード・エルナーク……血の力を呼び起こせ’

「ぐ……ぐぐ……」

‘全てを破壊せよ’

「うああぁぁぁ!!!」
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