魔界動乱期
「妖狐……」

妖狐はラウドに背を向けて歩き出したが、何かを思い出したようにピタッと止まる。

【言い忘れていた事がある】

「なんだ?」

【ディナスをはねのけたのはその童だ。ディナスはもう小悪党ではなくなった。それと、ヌシは気付いておらんようだが、その童、真に‘悪魔の子’……】

「あの魔力がジードだと!?バカな事を……。それに、悪魔の子とはどういう意味だ!?妖狐……!」

そして妖狐はそれ以上何も語らずにその場を後にした。
そしてそれから、次々とイグニ軍がその場に集結する。
ルーク、デグタス、モノケロウス、ウィドー、セラト……。
ジードを抱き抱えるラウドに、ルークが話しかける。

「ラウド、やっぱり息子のもとに一番に駆け付けたのはお前か。それで、ディナスと戦ったのは妖狐か?」

ルークのこの問い掛けに、ラウドは一瞬答えに迷った。

「……う、うむ」

「ちっ、関係ねえくせになんのつもりだ。あの女男はよ」

「女男?」

「男のくせに女みてえな顔しやがってよお!ちっ、左目が疼くぜ」

「ル、ルーク、お前……」
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