魔界動乱期
「おい、ラルー」

グレオの声に、ビクッとラルーが反応する。

「今、ジードが来たぜ。お前を待ってるぞ。お前も‘カトブレパス’の名を継がなきゃならないんだ。いつまでも寝てんじゃねえ!」

「で、でも……俺はジードグループにはいられない。お前には……いや、誰にもわからないさ。ボスの、あの悪魔のような姿は」

その言葉を聞いたグレオは、ラルーの胸ぐらを掴んだ。

「じゃあ悪魔のような姿のジードは、お前に手をかけたか!?ジードはお前のためにあのディナスに向かっていったんだぞ!」

「………」

「俺のときだってそうだ!魔法も使えなかったあいつがモルキに向かっていった。当時まだ敵対していた俺を救うためにな!」

「そ、それは……」

「ジードは大切な者を救うため、自分を進化させたんだよ!」

ラルーはしばらく黙り混んだ。
グレオはラルーを放し、そのままその場を去る。

「待ってるからな、ラルー」

そのとき、グレオとラルーを見つめる視線に二魔は気付いていなかった。
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