魔界動乱期
「ジード。お前魔力の絶対値が急激に上がったな。もう以前のお前とは別魔だぜ。一魔エリアクラスだよ」

「うん……なんだか調子がいいのは確かだな。しっかし、遅えなあ、グレオのヤツ」

夜になってもグレオは戻って来ず、心配になったジードはラルーのエリアに向かう事にする。

「俺も行こう。この中で一番鼻が効くからな」

ジードとニコがラルーのエリアに到着すると、そこに二魔の姿はなかった。

「おかしいな……」

ニコが不審な顔で辺りの臭いを嗅ぐ。

「ニコ、二魔の臭いはどこにいった?」

「ここで途切れている」

ニコによると、ラルーのエリアのど真ん中で、二魔の臭いは途切れているという。
襲われたにしても、襲った者の臭いが全くしない。

「どこいったんだよ、あいつら……」

「ジード、なんだか嫌な予感がする。一旦離れた方が良い」

「仕方な………、え、何だ?」

ふとジードは、何もないはずの空間からキラッと光るモノが見えた。
月明かりに反射したそれは、ニコの背後に姿を現す。

「ニコ、危ねえ!」

咄嗟にジードはニコを吹き飛ばす。
ジードが光るモノの場所を見ると、一瞬槍のようなものが見え、すぐに消えた。
もしもジードがニコを吹き飛ばさなかったら、ニコは串刺しにされていただろう。
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