ブラッディマリー
 

 和は万里亜の髪を指で梳いて、そのまま頭を撫でた。ひんやりと冷たい額、血の気のない頬。


 体内から流れる血を見て貧血を起こすと共に、本能が目覚めた。


 月に一度、いつ誰に正体が知れてしまうかという不安に襲われなければならない万里亜を思うと、和はいたたまれなくなった。



「……俊さん、昨日くれた薬って?」


「言った通り、貧血の薬」


「生理が来るかも知れない万里亜に、って意味だったのか?」


「いや、お前にだ」



 流れる音楽に合わせてとんとん、と長い脚でリズムを取りながら、俊輔は指先に煙草を挟んだまま、軽くこめかみを掻いた。

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