ブラッディマリー
意外に手際のいい万里亜が作ったのは、ミートソーススパゲティ。
いつもコンビニでそればかり買うものだから、好物のひとつだと気付かれていたらしかった。
それより和が驚いたのは、万里亜がミートソースを作り始めたことで。
思わずフライパンを覗き込んだ和に「簡単だよ?」と笑った万里亜の言葉通り、何か切った音がしていたと思えば、程なく馴染みのある香りが漂い始めた。
誰にそう言われたわけでもないのに、ミートソースはレトルトで買ったりレストランで食べるものだと思い込んでいた和は、感動すらおぼえた。
意外に世間知らずな自分に軽くショックを受けつつ、和は万里亜のミートソースにすっかり胃袋を掴まれた。
口に運ぶ度、嬉しそうにした万里亜が可愛くて。別の感情が胸を満たすのを感じては、和は視線を彷徨わせた。
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