ブラッディマリー
 

 が、何日も経ってみると、急にそのやりとりに自信がなくなって来た。



 単に万里亜が取り乱していただけだったとしたら?


 単に自分の自惚れや勘違いだったとしたら?



 万里亜に触るとして、今までそうしてたのと同じように出来るとは思えない。


 それで、万里亜に「あたしはそんなつもりじゃなかった」なんて言われたら、立ち直れそうにない。



 ──と、今まで知らなかった自分にはたと気付き、和は髪をぐしゃぐしゃと掻き回した。



 万里亜の言葉を全部聞いておけばよかった。そして、自分も確かなことを何か口走っておけばよかった。



 でも、何かって何だ?



「和、ビールいる?」



 ワンピースの裾をひらひらさせながら、突然万里亜が目の前に立った。


 和は一瞬硬直して、瞳だけで万里亜の顔を見上げる。

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