ブラッディマリー
 




「……いちいちエロいんだよ、バーカ」





 和がぼそりと呟いたその声を万里亜は聞き取って、一瞬遅れて「え?」と視線を寄越す。


 一瞬遅れたのは、バラエティ形式のクイズ番組の出題に聴き入っていたからだろう。



「何か言った?」


「別に」



 和が目覚めた時、どこか落ち着きがなかった筈の万里亜は今、すっかりいつもの彼女で。


 万里亜も少しは意識しているのかと思っていたのに、和は心許ない気持ちになる。


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