ブラッディマリー
──そもそも、万里亜は最初に死にたいと言っていた。
ここのところ、出会った日のような荒んだ目を万里亜が見せないから、すっかり忘れていたけれど……。
あの身体から冷気を漂わせているような兄貴から離れたからと言って、彼女の痛みがすっかり消えたとは思えない。
真昼の月のようなもので、見えないだけで常にそこにある。それは、自分もそうだからなのだろうけれど。
和は万里亜がミルクバーの最後の一口を含み、棒をごみ箱に放り込むのを待って、口を開いた。
「万里亜」
「ん?」
屈託なく振り返った万里亜の表情を崩すことを一瞬躊躇う。
けれど、言わずにはおれなかった。
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