ブラッディマリー
 


「いいかげん聞かせろよ、お前、このままでいいのか?」



 和の質問に、万里亜の瞳が止まる。


 真昼の薄い月と思われた彼女の痛みはやはりそこにあって、視線を合わせた瞬間鮮やかに現れた。



「……和……」


「勘違いするなよ。何も追い出そうってんじゃない。ただ……万里亜の気持ちが知りたい」



 フローリングに腰を下ろしていた万里亜の足が僅かに動いて、きゅ……と音が響く。


 部屋の雰囲気を支配していたテレビの音が今はもう何の力も持たず、フィルターの外に追いやられたように虚しく鳴っていた。



「……言わなきゃ、って思ってたんだけど、怖くて……」


「何が? 俺が?」


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