ブラッディマリー
万里亜は無言でこくり、と頷く。
しばらく沈黙した後、万里亜はおもむろに口を開いた。
「この間の夜……」
その言葉に、和はにわかに緊張する。
「この間の夜、和に血を貰ったあの日……許された気がしたの。こんなあたしでも、いいのかなって」
こんなあたしでもいいのかなって。
和は一瞬その言葉の意味がうまく理解出来ず、万里亜と同じ高さになるべくフローリングに腰を下ろした。
「どうしたらいいか、判らなかったの。和、優しいし……だけどあたしはこんな……ヴァンパイアだし、過去だって……」
何か堪えるように、万里亜の口唇が震えて、噛み締められる。
「……いいよ。言えよ」
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