ブラッディマリー
虚ろになりかけた万里亜の瞳を繋ぎ止めるべく和は息をつきながらそう言った。
すると瞬きの後、万里亜のしっかりした瞳が和を見つめる。
「過去のことなら、お互い様。俺だって……父親の後妻と寝てたりした男だし」
「和……」
驚いた万里亜は、恐る恐る和の髪に手を伸ばす。
「この……白い髪と、関係あるの?」
髪に触れた万里亜の手を取り、和は頷いた。そして代わりに万里亜のワンピースの胸元を少し開ける。
「あ……っ」
「……この跡……だいぶ薄くなったけど、なかなか消えないな」
眉尻を下げ、万里亜は一瞬泣きそうになる。
「……これはね……澄人兄さんだけじゃないの。よく手を上げて来たのは、お父さん」
「父親?」
「うん……兄さんは、お父さんからはよく庇ってくれた。だけど夜、抵抗した時にはあたしが諦めるまで……」
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