ブラッディマリー
 


 真っ赤な死体。



 君子はいつもと同じパステルカラーの寝着を纏っていたが、和が点けた浴室の蛍光灯が真っ先に浮かび上がらせたのは、母の身体から流れた赤。


 流れることを促し、血を固めない為に湯を沸かしたのか、むわりと湯気の篭った熱い浴室はその光景だけで充分だと言うのに、和に更なる吐き気を促した。





 今でこそ、その鮮やかな記憶は珍しくもないけれど。



 ──君子の身体からは無駄に殆どの血が飛び出して流れたのに、自分の血は万里亜が啜る。



 これもエコだろうかと考えてから、自分の発想の馬鹿馬鹿しさに和は思わず吹き出した。


 いつまでこの頭は白いのかね、とあてなく考えながら。




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