ブラッディマリー
 


「万里亜?」


「や、ちょっと待って……」


「俺、腹減ったんだけど」


「だから、待ってよ。今、落ち着くから……」



 はあ? と和が首を傾げると、万里亜は掛布の下でもごもごと呟く。



「……血の代わりとかじゃなく、抱かれたの……初めてだったんだよ?」



 和は、その言葉を頭の中で反芻して。その意味を理解するなり、万里亜から掛布を頭の部分だけを剥ぎ取り、彼女を後ろから抱きしめた。



「な、和っ!?」



 慌てる万里亜の耳を軽く甘噛みして、和はくつくつと笑い出す。



「やべー。あんまり喜ばせんなよ。寝起きからもう一回、やっちゃいそう」


「えっ!? やっ、やだっ」


「大丈夫、やんないよ。……痛いだろ?」



 和の心配するような声に含まれた甘さは、明らかに腰や脚を労るものではなくて。


 万里亜が恥ずかしがってそのまま丸まると、和は声を上げて笑った。




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