ブラッディマリー
 


「……和、買うもん多くなりそうだから万里亜ちゃん借りて構わないか?」


「だったら俺が行くけど」


「二の線ジャニ顔のお前の方が客ウケいいんだよ。だから店番」


「……」


「雨の日頭痛起こすお前に、車の運転なんか頼めないだろ〜?」



 それが俊輔の気遣いだと判らない程、子どもではない。和はちらりと万里亜を見た。



「万里亜、俊さんが変なことしたら思いっきり咬み付いてやれよ」



 和の言葉に、万里亜はぎくりと身体を強張らせる。俊輔は何も知らないような顔をして、肩を竦めた。



「しないって。万里亜ちゃん、うちのお姫様だから」



 そのやり取りに安心したのか、万里亜は俊輔に気付かれないよう、ほっと小さく息をつく。


 そんな万里亜に、和は瞳で『大丈夫』と語りかけた。

.
< 140 / 381 >

この作品をシェア

pagetop