ブラッディマリー
「知らないのも無理はない、か。今や君の父親は女と金に溺れたただの腑抜けだ」
「……その見解には賛同するけど、黒澤だから何だって言うんだ?」
「──黒澤も白城も、由緒正しきヴァンパイアの直系の家系だ」
澄人を睨んでいた和の瞳が、驚きに見開かれる。
「……直系、だって?」
「もっとも戦中戦後のごたごたでどちらの家も人間と交わってしまって、今やその血もだいぶ薄まってしまっているがな」
澄人はカウンターに両手をつき、中の和を覗き込むようにして嘲笑う。
「黒澤の先代が種無しで──人間である君の父親を養子に据えてからは、黒澤はヴァンパイアの仲間から遠巻きにされているがね」
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