ブラッディマリー
「……それが本当だとしたら、人間になった黒澤に万里亜がやられてるのは気に食わない──そういうことか?」
「ご名答」
澄人はそのまま素早く和のシャツの襟を掴み、引き寄せた。
息がかかる程近くに、お互いの顔がある。澄人の冷たい瞳がぞわりと神経を撫でるようで、和は寒気を感じた。
「でも、黒澤にヴァンパイアの血が流れていたとしても──君が万里亜と交わるのは我慢ならない」
澄人の手に力がこもる。そこから感じるのは、憎悪と……。
目の前の瞳が赤く染まり、そこに浮かんだ感情が、和の胸を射抜いた。
「お前……万里亜を……?」
「──ああ。愛している」
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