ブラッディマリー
 


「……ぎ……。……おい和、しっかりしろ!」



 ドアにもたれてそのままへたり込んだ万里亜に構う間もなく、俊輔は和の身体を抱き起こし揺らす。


 カウンターに上半身を預け倒れていた和の首から、夥しい量の血が流れ出し、テーブルを赤く染めていた。



「き……救急車、呼ばなきゃ……」



 万里亜はがたがたと震えながらドアに張り付くと、必死に立ち上がろうとする。


 俊輔は身を翻し、万里亜を引き寄せるとバタンと乱暴にドアを閉め、鍵をかけた。



「救急車とか、駄目。騒ぎになっちゃうから」



 俊輔の言葉に、万里亜は信じられないという目をして彼を見上げる。


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