ブラッディマリー
「し、俊さん、何言ってるの!? 和が、和が……」
「すごい血の匂いだよなぁ。本能我慢しながら恐怖に耐えるのは大変だろ、万里亜ちゃん」
びくり、と万里亜は身体を震わせた。
「……俊、さ……ん……?」
「大丈夫。和はまだ生きてるよ。……今のところはね」
俊輔に取られた万里亜の腕が、かたかたと震える。
それは、瀕死の和の命の火が消えそうなことへの恐怖か、目の前の未知なるものへの恐怖か。
自分でも判らないまま、万里亜は俊輔から目をそらせずにいた。
そんな万里亜の恐怖を正面から柔らかく受け止め、俊輔は動かない和を振り返った。
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