ブラッディマリー
「……驚いた。ただのお嬢さんかと思ってたけど」
「な……っ」
俊輔は面白そうに喉を鳴らして笑うと、万里亜から離れてカウンターに手をつき、ひらりと中に飛び込んだ。
丁寧に和を抱き起こすと、俊輔は含み笑いを万里亜に向ける。
「大丈夫。死なせやしないよ」
そうして和の首筋を剥き出しにすると、裂かれていない方に顔を寄せた。深く息を吐いて、俊輔は嘲るように続ける。
「その為にこいつをここに置いてたんだから──死なせて堪るか」
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