ブラッディマリー
 


「和……和、和!!」



 もう一度目を開けると、万里亜の泣き顔がそこにあって、和は何度も瞬きをした。


 すると、そのまま視界がぐるりと回る。……貧血か?



「和……よかった、和っ!」



 そのまま万里亜に抱きつかれ、和は自分の心臓が強く運動を始めたことに気が付いた。



「大丈夫か、和」



 万里亜の髪の向こうで、心配そうな俊輔が覗き込んでいる。



「俊さん……俺……」



 喉がからからで、うまく声が出なかった。



「俊さん、水……」


「……違うだろ?」



 低く言い放つ俊輔の瞳が、紅く揺らめく。その瞳に暗示にかけられたように、和は息を飲んだ。





「欲しいのは、水なんかじゃないだろ……?」




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