ブラッディマリー
 


 促す紅い瞳は、どこか悲しげで。


 身体の中で、胃壁が乾いてくっついてしまうような飢餓感。



 だけど何か食べたいわけじゃない。心臓が揺れているようで、気持ちが悪い。



「和……ごめん、ごめんね……」



 万里亜の泣き声が鼓膜を撫でて、その一瞬だけ気分が良かった。



 ああ、俺、万里亜が欲しいのか……。



 それだけ自覚すると、和はゆっくりと起き上がり、浮かされるように万里亜を見た。


 甘い、甘い匂い。


 和は疑うことなく万里亜の髪を梳いて白い首筋をあらわにした。



「……いいよ、和……我慢、しないで……」



 万里亜の声が震えているのは、泣いているから?


 そんな声さえ愛しいと思った瞬間、もう我慢ならない。



 欲するままに、和は万里亜の首に食らいついた。









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