ブラッディマリー
 


「ま……万里亜、万里亜!」



 腕に抱いた万里亜を揺り動かすと、彼女の大きな瞳がくるりと和を見つめた。青白い万里亜の顔が、微笑みをかたどる。



「和……よかった」



 少し震えながら伸ばされた万里亜の指先が、和の口唇の端を拭った。


 口唇から零れた血を拭われたのだと気付き、和は眉根を寄せる。



「……和、何があった?」



 驚いて顔を上げると、俊輔が目の前に立っていた。


 軽い混乱をおぼえて和が口を開けずにいると、俊輔は軽く溜め息を漏らす。



「……戻って来たら、首筋を裂かれたお前がカウンターに突っ伏してた。……何があった?」



 ……そういえば……。


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