ブラッディマリー
 


 口唇を合わせ、とろけてしまいそうなベルベッドの舌に酔ったのもつかの間。万里亜のワンピースの肩をはだけさせたところで、和の指は止まった。



 酒でごまかしていた頭痛が、痛みの在りかを主張し始める。


 こつんと叩いたら折れてしまいそうな綺麗な鎖骨の真下、万里亜の胸の膨らみが主張するその場所。



 生々しく、痣が残っていた。



 うす明かりの中、白い肌にしっかりと浮かぶ痣は青紫色で、昨日今日ついたものではないことはひと目で判る。たった今まで身体を支配していた激しい欲望が、さざ波のように引いていった。


 和はその痣を指先でするりと撫でて、押し倒した肢体を眺め、思いきりワンピースを引き下ろす。



「あ……っ!」



 万里亜が焦ったように、小さく悲鳴を上げた。


 愕然とした。




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