ブラッディマリー
「これは……ようこそ、いらっしゃいました」
もう一度頭を垂れた西成に、万里亜はどうも、と蚊の鳴くような声で曖昧に答えた。
「突然お邪魔して、申し訳ありません。白城万里亜と申します」
「……ま、そういうこと。西成、親父はどうしてる?」
昼間屋敷を訪ねても敬吾がいないことは判っていたが、和はとりあえずそう訊くことにする。すると西成の顔が少し曇った。
「……和様に隠しても仕方ありませんね。どうぞ、こちらへ」
玄関先で話すことではないのだろう、西成は和と万里亜に中へ入るよう促した。
応接室へ……と西成は言ったが、自分の部屋がそのままであることを知った和は、そちらを選んだ。
西成は何も言わず従った。
「ただ今、旦那様はご政務中です」
「ああ……だろうな。だから来た」
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