ブラッディマリー
 


「旦那様は間もなく戻られると思います」



 敬吾の運転手からの連絡を受け、西成は和にそれを告げるとまた戻って行った。


 和はあの後自分の部屋に万里亜を連れて戻り、とりとめない話をしながら敬吾が戻るという夜を待った。あまりかかると、“HEAVEN”に着くのが遅くなる。昨夜俊輔に言った以上、遅刻は避けたいところだった。


 すぐに終わる話とも思えなかったが、切り出した時の敬吾の表情を確かめたい。



 ……それに、俊輔とはどうして知り合ったのかということや、彼の素性を知っているのかということも。



 和はまた頭の奥が痛み出すのを感じ、こめかみを押さえた。が、いつもの頭痛とは違う。


 和が眉間に深い皺を寄せたのを見て、万里亜は彼を覗き込んだ。

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