ブラッディマリー
「お前……戻って来た……のか?」
「……いや、訊きたいことがあって、来ただけだ。何があった!?」
「見ての通りだ。襲われた。運転手は儂を庇ってやられた。だから何とか儂が車を動かして来た」
「誰に!!」
「……さあな。恨まれる覚えがあり過ぎて、見当もつかん」
「じゃあ、これは何だ!」
和は運転手の死体をごろりと仰向けにすると、その首を指差した。
「……あんた、何もかも知ってる筈だ。だから俺も、訊きに来た」
運転手の首に、隠す気のない二つの傷痕。
ヴァンパイアの牙の痕──だった。
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