ブラッディマリー
 




「──……!」





 万里亜の口唇が吸い付いたところがちくり、と痛んだ。



 すると、じわりと頭の中に白い闇が拡がる。抵抗しようとした和の思考が痺れ、身体は心地よい脱力感に見舞われた。



 慈しむような手つきで、万里亜は和の頭を撫でる。その指先から、不思議と彼女の安堵が伝わった。


 悦楽とは違う、初めて感じるその心地よさは、眠りに落ちる時の快感に少し似ている気がする。


 痺れる指先で、和は万里亜の背筋を撫でた。





「ごめんなさい……やっちゃった……」



 ひときわ大きくごくり、と喉を鳴らした後、万里亜は和にしがみつくように抱きついたまま、溜め息をついた。


 万里亜の息が、和の首筋を撫でる。


 思わず反応して震えそうになったのを堪え、和は万里亜の顔を覗き込んだ。

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