ブラッディマリー
遅れて駆け付けた西成に敬吾が何やら耳打ちをして、程なく不安げに瞳を揺らす若い女が部屋へ通された。
20歳になるかならないかのその女は、怯えながらも状況を判っているようで、和に目を止めるなり着ているブラウスのボタンを2つほど外し、差し出すように首を傾ける。
それを見ていた俊輔が、呆れたような冷やかな視線を敬吾へ向けた。
「用意周到なことだな。こんなこと、和が嫌がるとは思わなかったか?」
「……子の尻拭いは親の務めだ。過保護で悪かったな」
やってきた若い女の匂いに意識を奪われそうになっていることに軽く混乱する和をちらりと見ると、俊輔は値踏みをするように女の首筋を指先で撫で、その爪で肌を浅く裂いた。
「……あっ」
突然の首筋の痛みに軽く吐息を漏らしただけで抵抗する様子のない女の肩を抱くと、俊輔はおかしそうに笑った。
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