ブラッディマリー
 


「冗談うまいな、お前」


「違うよ、冗談なんかじゃ……」


「なら、お前に噛まれた俺は吸血鬼になるってことか?」



 嘲るような瞳で、和は万里亜を見つめる。


 少し赤く染まった頬はそのままで、万里亜は俯いた。



「……今のヴァンプに、そんな力はないよ。昔はそういうこと出来るヴァンプもいたみたいだけど……」



 乱れた髪をさらりと背中の方に流して、万里亜は再び和を見る。





「あたしは──血を貰うか、誰かに抱いて貰わないと衝動が収まらないの」




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