ブラッディマリー
昔、それと似たようなことを言った女がいたっけ。
ふと、和は心の底に押し込めた痛みが疼き出すのを感じていた。
自分はヴァンパイアだと告白した万里亜に対する驚きよりも、その痛みの存在感は明らかで。
古い痛みが鮮明になっていく、そんな予感がした。
『男が受け止めて、応えてくれたなら──私だって、貞淑を装ってもみせるのに』
ベッドの上でまどろみながら、吐き捨てるようにそう言ったのは──15も上の女性。
まだ幼かった和の、義母。
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