ブラッディマリー
闇と血の決壊
『愛してる』
この身を誰かに委ねる度に、繰り返される戯言。
愛してるってどういうこと?
しがみついて執着して、あたしの意思など部屋の隅に捨てて好きに振舞うことを、愛っていうの?
だったら、あたしは誰のことも愛せないの?
女は誰も愛せないの?
女がそんなふうに道具みたいに扱われる為だけに存在するものなら、どうしてあたしにはこうして考える力があるの?
胸の痛みなんてまだ知らないうちに粉々にされた心でも、感情を模倣することくらいはできるんだよ。
だけど、だけど。
模倣できない人に会ったのは初めて、ただそれだけなのに、どうしてあたしの心はこんなに騒ぐの──。
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