ブラッディマリー
そして、身体まで使って自分に近付いた万里亜。
ただただ、胸が痛い。
こんなことになってもまだ、彼女との全部が嘘だったとは思えない。こう考えることすら愚かさの極みなのだろうけど……。
万里亜が『殺して』と泣いていた最初の夜のことを、さっきから何度も何度も繰り返し思い出す。
和は俊輔の顔をちらり、と見た。
本当のところ、母・君子とどういう関係だったのだろう、と過ぎらないでもない。
いかにヴァンパイアと言えど、罪悪感はしっかりあるのだ。
それに、『愛してた』とはっきり言い切ってしまえる程の情が俊輔にはあったのだ。敬吾には悪いが、俊輔のただの一方通行には思えなかった。
もちろん、惚れた腫れたなどと戯言を繰り返しながらもつれ合って、結局ベッドに甘く沈むような単純なものではないのだろう。
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