ブラッディマリー
それに、澄人と初めて会ったあの雨の夜も、万里亜は怯えていた。
あれも演技だったのか、という疑問とともに思い出すのは、澄人を確認した途端万里亜が震え出したことだった。
好きでもない男に近付く為だけにあんなことまで出来る女なのだ、震えて見せるくらい造作もないことなのだろう。
──けれど。
万里亜の裏切りを理由に、思考の端から畳みかけるように彼女を貶めていく自分と、貶めた端からそれをことごとく否定していく自分が同居していて、和はそれに不快感をおぼえる。
何だよ、これ。どれだけあの女のこと好きなんだよ、俺。
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