ブラッディマリー
……ズル……ズル……ズルルッ。
冷え切ったアスファルトに、したたかに打ちつけられる雨。
等間隔で建てられている電柱に据え付けてある街灯に照らされる度、その光景があらわになる。
裸足の足は、泥と血にまみれていた。
無造作に裸足で歩いてきたからなのであろうその汚れと傷を気にすることなく、その人物は俯いたまま何かを引きずっている。
また、街灯の下に出る。細い腕が掴んでいるのは、人間の男の襟首だった。あり得ない方向に倒れている男の首は、引きずられる度かくん、かくんと頼りなく動く。
──とっくに、絶命していた。
うなだれたままの頭で隠れて見えない喉元から、赤い液体がぬらぬらと流れ落ちている。
その赤で男の衣服もすっかり赤黒く汚れてしまっていた。
重そうなそれを息を切らすでもなく引きずっているのは、女──いや、女の姿をした、ばけもの。
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